旅のそら　〜カンボジア〜

エジプトに行った後ぐらいから、ずっとあこがれていたアンコールワット。 しかし、当時のカンボジアは内戦が終わったばかり。まだまだ混乱していて、とても観光どころではありませんでした。 ここ数年でやっと観光ができるようになりましたが、街から離れた遺跡へ行けるようになったのは２年前くらいからだそうです。そんな所ですから観光に行く人など少ないと思いきや、近年の「世界遺産ブーム」に後押しされ、日本人観光客の多いこと！ 特に高齢者の元気なことには、毎度のことながら驚かされます。

数年来の夢がかなって、ついに対面したアンコールワット。そのすばらしさは想像以上！

カンボジアと言えば、やはりアンコールワットに代表される遺跡群。 アンコールトム、タプロムなどの日本でも名前の通った遺跡以外にも、大小の遺跡が点在。９〜１３世紀にかけて王様が代わるたびに都城を造り替えたためらしいです。 時代の変遷に合わせ、宗教もヒンドゥー教から大乗仏教へと代わり、レリーフの変化を見るのも楽しいもの。 テレビなどで言われる「遺跡の傷み」も、熱帯雨林の中で永年忘れ去られていたことを思えば自然なもの。間をコンクリートなどで補修してしまうより、かえって“侘び寂び”を感じさせてくれます。ただ、略奪などによってレリーフの「シヴァ神の頭部」だけが削られてしまった部分などは痛々しいですね。今でも油断すると泥棒が忍び込むらしく、２４時間の警備をしているそうです。

タプロムにて。 鳥が運んだ木の種が屋根で発芽、根が石の間を通って地面まで伸びたそうな。 木を切ると根も枯れてしまい、隙間ができた遺跡は倒壊する運命に。 「このままが自然」だそうです。

遺跡巡りのハイライトは、ここバンテアイスレイ。アンコールワットなどに比べると、ごくごく小さな寺院なのですが、「女性的」と言われる彫刻はとても細かく繊細。

ガイドさん曰く「バンテアイスレイを見なければ、アンコール遺跡を見に来た意味がない」というほど、とにかく見事！

	左：「東洋のモナリザ」と言われる中央神殿の守り神。 他の遺跡のレリーフと異なり彫りが深いため、足が前を向いている。 下：シヴァ神のレリーフ。 中央の「聖なる牛」に乗っているのがシヴァ神なのだが、ヒンドゥー教の最高神であることが災いして盗まれてしまっている。

ここは街の中心部から４０Ｋｍほど離れた所にあります。日本のように高速道路などが整備されていれば３０分もかからないのでしょうが、とにかく道が悪い！道中の半分は石畳の舗装(？)がされているのですが、細かい振動が発生するためそれほどスピードは出せません。それでも舗装されているだけましで、途中から舗装がなくなると今度は車がひっくり返るかと思うほどの大穴だらけの道。穴をよけながら走るため、結局片道１時間程かかりました。これが１年前だと全行程が未舗装で、片道２時間かかったらしいです。 それでも行かれるだけまし。もう１年前だと治安が悪くて観光できなかったそうですから。 来年には全行程の舗装が完成して、もっと行きやすくなるそうですよ。 さて、気になる治安ですが、ツアーで現地ガイドさんに付いてもらっている分にはまったく問題ありませんでした。かなり慎重になって一人歩きなどもしませんでしたが、欧米人の観光客などは言葉に不自由しない絶対の自信と、やはり体格が良いこともあるのでしょうか。レンタバイクで単独でバンテアイスレイを目指しているなんて方も見かけました。もちろん最後のリスクは自分で負うしかないのですが。 最後に物価の話など。 観光客が行くような所ではＵＳ＄しか使えません。ということは最低単位が＄１から。 ＄１以下はほとんどの場合、切り上げられてしまいます。ホテルでサービス料の計算の際、無理を言って現地通貨で端数のお釣りをもらったのが唯一の例外でした。 ミネラルウォーターが＄１〜２、ジュースが＄３〜４、オプションツアーが＄３０等々、円に換算するとほとんど日本の物価と変わりません。私たちはインドネシアなどのノリでもう少し物価が安いのではないかと読み違えて、ギリギリのＵＳ＄しか持って行かず、かなりやばかったです。(^^;)　ちなみに現地でも円からＵＳ＄への両替は可能ですが、レートがむちゃくちゃ悪いです。（2000.11.5現在、成田にて＄１＝￥１１０でしたが、現地では＄１＝￥１２５と言われました。両替はベトナムへ出国するまで我慢したことは言うまでもありません。）これからカンボジアに行かれる方は多めに持って行かれることをお勧めします。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ぶらっと 2000.11.12)

アンコールワットの中央塔へ登る階段はとても急。 最上階は神様の世界。人間がそこに行くには「這いつくばって登ってこい」ってことか!?

これは虐殺慰霊塔です。塔の中には虐殺された人々の遺骨が納められています。 アンコールワットへ行く途中の仏教寺院にありました。現地ガイドさんが是非見ていって欲しいと案内してくれました。 今回思いもよらず見ることができて良かったです。これもカンボジアの歴史の１ページですから。